グラフの描画(6)―2モードのグラフ

イメージ 1 gplotでは、2モードの隣接行列を描画することもできる。2モードの隣接行列とは、行と列が異なる頂点から成るような隣接行列である。

例として、フロイド・ハンター『コミュニティの権力構造』p.80に描かれている、ある市のリーダーたちのクラブへの加入の様子をgplotで描いてみよう(ただし、クラブ加入のないリーダーは省く)。

まず、次のような2モードの隣接行列を作成する。

   [A][B][C][D][E]
[ 1 ] 1 0 0 0 0
[ 2 ] 1 0 0 1 1
[ 3 ] 0 1 0 1 1
[ 5 ] 0 0 0 0 1
[ 7 ] 0 1 0 0 0
[14] 1 1 0 0 0
[21] 0 1 0 0 0
[22] 1 1 0 0 0
[24] 1 1 0 0 0
[26] 0 1 0 1 0
[28] 0 0 0 1 1
[29] 0 1 1 1 0
[32] 1 0 0 0 0
[36] 1 1 0 1 0
[37] 0 1 0 1 0

ここで行のラベルは市のリーダーたちを表す番号であり、列のラベルはクラブを表す記号である。例えば、リーダー1はクラブAに加入していることが示されている。行と列は入れ替えてもよいが、gplotでは、行要素から列要素に向けて矢印が引かれるので、矢印を描く場合は、行要素を列要素に含まれるカテゴリーとした方が図が見やすいだろう。

gplotで2モードの隣接行列を描画するときには、パラメータに

  gmode ="twomode"

を追加する。例えば、上の隣接行列をdatとした場合、

  gplot(dat, gmode = "twomode", label = c("1","2","3","5","7","14","21","22","24","26","28","29","32","36","37","A","B","C","D","E"), 以下省略)

などとして、図のようなグラフを得る。ここでは、リーダーとクラブを表す頂点の色やラベルの大きさを別に指定している。

参考文献
Hunter, Floyd, [1953]1963, Community Power Structure: A Study of Decision Makers.(=1998,鈴木広監訳『コミュニティの権力構造―政策決定者の研究』恒星社厚生閣.)